見てきた042:建築はどこにあるの?@東京国立近代美術館

エントランス
「とうもろこし畑/中村竜治」
入ってすぐ現れるのは「とうもろこし畑/中村竜治」
中村竜治の立体グリッドシリーズ集大成!といった感じで、ど迫力。
ジグザグにカットされた1mmの紙を立体トラスとして自立させてる。
タイトルは好きな感じ。「どんなものができるのか、まずはつくってみた。できあがったものを見て、トウモロコシ畑のようだと感じ、タイトルにした」とのこ
と。
柱間を縫うような三角形の平面形によってできる濃淡がみごと。それぞれ90、60、30度。
んだけども、繊細すぎたり、人の手がかかりすぎていたりってとこが気になる。同じように繊細で手がかかっていた(と思われる)、21_21で見た吉岡徳人の天井の壮大さや、セシルバルモント展のチェーンの重力への戦い方に通じるものがあるが、そこまでの驚きは感じず。うーむ。
「草原の大きな扉/中山英之」
隣接するスペースにたたずむ「草原の大きな扉/中山英之」。
言わずもがな、六花亭コンペ最優秀賞案。大人の事情で中止になったそうで。
そこの計画を1/3スケール模型で表現。
背の高い扉は6mが2mとなって、「普通の部屋にあるドアのサイズ」となる。
不思議なスケール感が体験できるかも!と思ったが、普通のサイズになってしまったドアは木でできた更衣室ですがな!となってしまい自分の中で消化不良。まわりに他のプロジェクト(1/1スケール)があったからかもしれないが、うーむ。
「物質試行51 DUBHOUSE/鈴木了二」
こちらも同じスペース内に共存する「物質試行51 DUBHOUSE/鈴木了二」
なんだこの放置プレーは!オモロイ。鈴木了二さんって始めて本人を拝見した。記者発表でのトークはかなりオモロかったので印象がだいぶ強い。氏のつくる建物は「物質試行」と名付けられ連番で管理されている。
最近の「試行」のはやりは、「DUB」とのことで、「ダブ」とは音楽用語。
「ダブは楽曲のリズムをより強調する様にミキシングし、エコーやリバーブなどの過剰なエフェクトを施し加工することに全く別の作品に作り変えてしまうことであるリミックスの元祖とも言われる。」(Wikipedia)
そのダブ手法を用いて暗闇をつくりだしてるっていうマニアックかつわかりずらい展示!暗闇の中にひっそりと存在する家具や絵画。
強化ガラスが全面に貼られた床によって、深度をより強調。
最初はなんのことやらわからんかったけど、眺めれば眺めるほどオモロクなってくる。
「赤縞/内藤廣」
大きな会場から小さな会場へ
僕のカメラボディでは撮影無理だぁ(ISOマックスで1600・・・)。高感度なボディ欲しいなぁ。内藤廣がこれを?!と思ってしまうほど、普段の作風とは異なる感じ。だけど、現場で使われるレーザーから着想したという意見が内藤廣的なのだなぁ。
天井から等間隔にレーザーが配置されていて、だれもいなければただの縞模様だけど、人が入ることで、等高線のような模様が浮かび上がってくる。
内藤さんがガーゼのような布きれを持ってきてヒラヒラさせて見せた。これが驚くほど美しかった。これから行く人は、大きめのハンカチとか手ぬぐいを持っていってお試しあれ。ひーらひら。
「ある部屋の一日/菊地宏」
その先の通路状の場所にある「ある部屋の一日/菊地宏」
ショックが大きい!。始めて見た人は最初の模型スペースとその後のプロジェクタースペースの関連に驚く。だけど、その驚きが楽しいわけではなく、何時間でも佇んでいたくなる。
模型+光源+カメラ+モーター+プロジェクターという秋葉原に行けば即、手に入れることが可能ななんでもない材料達だけを組み合わせることで生みだしてるこの哀愁漂う景色。
大泉の家でもそうだったけど、この人はなんて既存ものの組み合わせがうまいのでしょね。ちみつな計算と徹底的な現場検証でこれほどまでに見たことのない状態がつくれるってすごい。ネーミングもいいなぁ、もう。
「絶妙のバランスでできあがってしまっているので、模型はコードやらがむきだしのままとなってしまった」というが、そこがまた良くもあり、そんな場所にはちゃんとしたソファーが置かれていたり、プロジェクタースペースには無造作なベンチが置かれていたり、7人中唯一観覧者の「耳」もターゲットに入れていたりと、そこらへんの処理も絶妙。
「うちのうちのうち/伊東豊雄」
最後に待ち伏せする「うちのうちのうち/伊東豊雄」
進行中の「今治市伊東豊雄ミュージアム」のプレ体験版といった感じ。
内部ではこれまでのプロジェクト模型があるのだけど、この見せ方が独特。
計画案がどんどん増殖していったり、その逆に連続した不連続パターンの中の一部を切り取っていたりと興味深いのだが、インスタレーション展という側面で観るとイマイチ。他の人達は個別解を用意してるっちゅーのに、なんじゃこれは、労力のかかった思考の手抜きか。これからできる建物のスタディ模型をここで体験できてもなぁ。
「まちあわせ/アトリエワン」
外庭には「まちあわせ/アトリエワン」

みんな大好きアトリエワン。この人達も記者会見で異彩を放ってておもしろかった。
「設置場所を中庭に与えられた。その中庭には緊張感のある彫刻があって、近寄りがたい。そこで誰でも気軽に立ち寄れるような場所にしたかった。」
「近くに皇居という得体のしれない大きな森がある。その大きな森の中には大きな動物達がいるかもしれない。その大きな動物達が、建築の展覧会だって!行ってみようと集まっている状態にした。」
「東京国立近代美術館は竹橋に建つ。ので、竹を用いることにした」
と、つくるストーリーがオモロすぎる。
また、今回の施工は造園業者さんとタッグを組んで作ったとのことで、そういう作り方も共感できる。特別な技術や材料は一切使用していないのね。
絵本をつくるようなストーリーから生まれたこの動物達の木陰は、想定通り気軽な場所となってました。
隠れキャラもあるんですよ
エントランスを入るとある二つのテーブル。
実はこのテーブルも今回の展示に合わせて製作されたものなんです。設計は菊地宏。製作はニュウファーニチュアーワークス。今回、中山英之の本体木部も手がけてます。
ポイントは、「テーブルのサイズ」とそこから生まれた「周囲の無垢材と角度」。角度は本を読むのにぴったり。
ここで問題。サイズと無垢材の関係、分かる方いますかー?メジャーを持って行って、なんで廻り縁に無垢材が付いてるかよーく考えてみましょう。面材の規格寸法を知っていればわかるはず。
材料と行為とで生まれてる美しいテーブル。見落とさないように!
すごい展覧会がはじまってしまいましたよ。
キュレーターの保坂健二郎って人がまず、すごいのだろうなぁ。
「7つのインスタレーション」。
インスタレーションとは、その場所において空間と共に何かを表現すること。その何かを鑑賞ではなく、体験すること。そんな感じでしょうか。
これはもう、建築家の得意分野。それを一堂に7建築家分どどーんとお届け。
見終わってしばらくしてなぜだか、鴻池朋子の「インタートラベラー展」はすごかったんだなぁと思い出してしまった。
ICCに合わせた展示で、一人で複数のインスタレーションをストーリー仕立てに展開していた。うん、あれはすごく面白かったんだ。
今回の全体的な印象としては、建築を作る上でかかせないプロセス「模型→現場→建物」を各自の解釈で漂いながら、その瞬間を閉じ込めたり、横断したり、反復したり扱っている感じ。
プロセスの一つである「図面」が無かった(スケッチはあったが)のが意外と言えば意外。もう”図面”の時代は終演を迎えたということなのかな。今回の展覧会によって”図面”は表現の方法としては過去のものになったのか。
また、今回の展覧会のもう一つの特徴が「撮影可」であること!万歳です。
個人が喋る時代。規制するよりも、許可してしまったほうがメリットはあるはず。第一に勝手に撮ってってくれるから、取材として時間を取られない。第二に好意的な意見も否定的な意見も得ることができる。二番目が特に重要で、否定的な意見を得るのって、費用を払ってもなかなか得ることができない。否定的な意見こそ、改善のヒントが隠されているものです。この動き、どんどん広まって欲しいと節に思う。そして撮影不可にしているところなんぞ、オックレッテルーぐらいの風潮になっておくれ。
印象に残った順は、
1位:「ある部屋の一日/菊地宏」
2位タイ:「赤縞/内藤廣」
2位タイ:「まちあわせ/アトリエワン」
2位タイ:「物質試行51 DUBHOUSE/鈴木了二」
5位:「とうもろこし畑/中村竜治」
7位タイ:「草原の大きな扉/中山英之」
7位タイ:「うちのうちのうち/伊東豊雄」
でした。
8月8日まで開催中です、是非。展覧会情報はこちら
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